海外在住のこどもの日本語習得の難しさ
Updated: Mar 12, 2021
私の夫はフランス人で息子はオーストラリアで生まれました。私が息子に話す時は日本語、夫が息子に話す時はフランス語、夫婦間の会話はフランス語、息子はずっと英語を使っています。3歳でプレスクールに通い始めるまでは日本語とフランス語の単語が出ていたのですが、あっという間に英語だけになってしまいました。
シドニーには3歳から通える日本語補習校があるのですが、夫の母親が「そんなに小さい時から多言語を勉強すると混乱するから、もっと大きくなってからにした方がいい」と言うので、6歳になってから補習校に入れましたが、もっと早く始めていれば良かったです。
私は、海外で生まれ育ったこどもは自然とバイリンガルもしくはトリリンガルになれると思っていたのですが、大きな間違いでした。外国語を聞き続けていればいくつかの単語やフレーズは頭に入ってくるかもしれませんが、意味を理解して使いこなすようになるには、努力と勉強が不可欠です。
日本人は中学、高校と英語を勉強して読み書きはある程度できるようになっても、話せるようになるのは難しいですよね。それは使う機会がないからです。
私は息子が生まれてからずっと日本語で話しかけているし、毎週1回補習校に連れて行っていますが、彼は日本語で話すのが本当に苦手です。日本語はある程度理解しているのですが、家族も友達もみんな英語を理解してしまうので、日本語を使う必要性を感じていないのです。
日本語補習校では毎週漢字テストがあるので、毎日のように家で勉強していますが、それもテストが終わるとみんな忘れてしまいます。
ただ、日本に生まれ育った日本人が多言語を習得するより、海外で生まれ育った日本人が多言語を習得する方がアドバンテージはあると感じます。
私は大学でフランス語を専攻し、フランスに留学し、たくさん勉強しましたが、一定のレベル以上にフランス語が上達することはないんじゃないかと思っています。
息子はネイティブ並みに英語と日本語とフランス語を習得するチャンスが生まれながらに与えられているので、そこを伸ばしてあげたいのです。
私は海外に住んでいても日本が大好きで、日本人であることを誇りに思っています。息子はオーストラリアで生まれたから自分はオーストラリア人だと思っていますが、実際には日本国籍とフランス国籍は持っていますがオーストラリア国籍は持っていません。その上、日本は二重国籍が認められていないので、21歳になった時に日本国籍を放棄しないといけないのです。日本の国籍を放棄することは義務ではありませんが、二重国籍のこどもが日本国籍を保持することを選ぶと、他の国籍を放棄しないといけなくなります。しかし二重国籍が認められている国を選べばオーストラリア国籍やその他の国籍を複数同時に持つことができるのです。
日本のパスポートを取れなくなり、日本語も話せなかったら、彼の日本人としてのアイデンティティはなくなってしまうのでしょうか。母としては、日本国籍を放棄しないといけない日がやってきても自分は日本人なんだと思い続けてもらいたいのです。いつか自分のアイデンティティについて考えた時に、日本語学習を続けていて良かったと思う日がくると信じて、今は息子に強制的に勉強させ続けています。
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